受賞・助成金レポート

このたび第103回日本泌尿器科学会総会におきまして、第73回坂口賞を授与いただく栄誉にあずかりました。歴史ある賞を受賞でき、大変光栄に存じます。

今回の受賞論文は『Novel effect of the inhibitor of mitochondrial cyclophilin D activation, N-methyl-4-isoleucine cyclosporin, on renal calcium crystallization.』Int J Urol. 2014;21:707-13.です。これまで私たちは、ミトコンドリア傷害が尿路結石形成の起因となることを見出して参りました。さらに、ミトコンドリア傷害の原因がcyclophilin Dの活性化であることを報告して参りました。本研究では、このcyclopilin Dの活性化を選択的に阻害することができるN-methyl-4-isoleucine cyclosporinをラットに用いて、ミトコンドリア傷害を軽減させることにより尿路結石の形成を抑制させることに成功しました。さらに、尿中のcyclopilin Dを測定し、これが尿路結石形成の予測因子となることを世界に先駆けて報告いたしました。本研究は、尿路結石予防の新薬開発に、また簡易な尿路結石診断ツールの開発に貢献できるものと考えております。今回の受賞を励みとし、今後も精進して参りたいと存じます。

［掲載日：2018年12月］