研究紹介

不妊研究グループ

男性不妊症とは

現在不妊に悩んでいるご夫婦は6組に1組といわれています。その中で約半分が男性に原因があることはなかなか世の中に知られておりません。名古屋市立大学は東海地区として唯一男性不妊症に取り組む大学病院です。不妊症の原因には①造精機能障害:精巣内で精子が造られないあるいは機能が下がっている場合 ②勃起・射精ができない ③精子の通路(精路)に問題がある ④精路に炎症がある などなど様々な原因が存在します。その中で大半を占めるものは①の造精機能障害です。 ただその原因のほとんどがわからないのが実情です。実際の現場では造精機能障害の原因に精索静脈瘤が存在した場合は手術を行うことで、造精機能の改善が期待できます。手術方法は顕微鏡を使った手術:顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術を全例行っております。また精巣から精子を採取する手術が必要な時は院内・院外を問わず産婦人科と連携し顕微鏡下精巣内精子採取術を行っております。実際の現場だけではなく、細胞や動物を用いた基礎研究にも取り組んできております。

造精機能障害に対する検討:臨床編

21世紀に入り、積極的に顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術および顕微鏡下精巣内精子採取術を行ってきております。その中で各種ホルモン値および病理検査から造精機能に係る因子を検討しております。これらの研究は大学病院の倫理委員会の承認のもとで行っております。

造精機能障害に対する検討:基礎研究編

ホルモンを制御したり、抗がん剤を投与しての造精機能障害モデル動物を作成し、その精巣内の変化を検討しております。造精機能が変化することで増加あるいは減少する遺伝子は何か、またその中で精子になっていく細胞(精細胞)の変化のみならず、その周囲で精子産生のサポートに徹している体細胞(セルトリ細胞、ライディッヒ細胞)の変化を中心に現在検討しております。

最後に

名古屋市立大学の腎・泌尿器科および小児泌尿器科では今までたくさんの小児患者さんの治療を行ってまいりました。そのお子さんたちがいよいよ成人になり結婚し、不幸にも不妊症であった場合に以前の治療歴とリンクできる全国唯一の施設でもあります。子供から大人まで、ひいては生まれる前から治療にあたりその後も責任をもって治療にあたることができる体制を整えております。

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